日本で英語の資格と言えばTOEICですね!リーディングとリスニングしかメインの試験にはありませんが、英会話の生徒さんでもTOEICにチャレンジしている人は多いです。
今回は、英会話をできるようになりたい人にとって、TOEICにはどんな価値があり、どう位置づけると良いものなのか、解説していきます!
目次
そもそもTOEICとはどんな試験なのか?
リスニングセクション100問(45分)と、リーディングセクション100問(75分)から構成されている、マークシート方式の英語のテストです。
英検などの試験と違って、TOEICには合格・不合格はありません。代わりに990点満点(リスニング495点・リーディング495点)のスコアで受験者の英語力が測られるようになっています。
英語教材で有名のアルクはTOEICという試験をこのように説明しています。
テストの英語はビジネスシーンや日常生活を題材にしたものが多く、ビジネスで使う語彙・表現が数多く登場します。英文の難易度は英検1級よりは易しめといえるでしょう。主に日本と韓国のビジネスパーソン向けに作られたテストなので、日本人と韓国人の苦手な発音の聞き取りなど、弱点を突く問題がよく出題されます。
http://www.alc.co.jp/tg/toeic_first/
このように、出題される英文は決して簡単ではありません。そしてビジネスシーンに特化された出題傾向であることもあり、日本の企業を中心に、TOEICのスコアを従業員の英語力の指標にするところが増えています。また、TOEICスコアを管理職への昇進や海外赴任の条件とする企業も増えていますが、その基準となるスコアの水準は年々上がっています。
TOEICブームの光と影
この流れに乗って、様々なところでTOEIC対策の重要性が強調されるようになり、語学学校や英会話スクールはTOEIC対策のコースを開設し、今はTOEICブームとも言われるような現状があります。
英会話もTOEICもどちらも教えている英語の指導者として、気付いたのは、TOEIC対策の授業を取りながらも、本当は使える英語を身につけたいと思っている人の方が多いということです。英語からしばらく離れていたけど、また新たに取り組もうとしたときに、TOEICを入り口とする人が多いことにも気づきました。ここで一度、TOEICと実際に使える英語についてお話しさせていただければ思います。
英語が出来る人は知っている、TOEICの本当の価値
TOEICは実践的な英語力とはまた別物であり、あくまで「ペーパー試験対策」を必要とするものです。癖や傾向に慣れ、自分の英語力をTOEICのその癖に合わせていく必要があります。
TOEICのスコアが日本の企業でますます重視されてきているので、学生の就活のため、また社会人のキャリアアップに活かすためでしたらTOEICのスコアにこだわる必要はあると思います。その高得点スコアが直接的にやりたいことの実現への切符になるなら対策にエネルギーを注ぐべきです。
本当はもっと広い英語の世界
しかし、もしやりたいことの実現のためにTOEICの公式なスコアがいらない場合、本当はどんな英語力を付けたいのか、もう一度立ち止まって考えてみる必要があります。
もしそれが英語でたくさんレポートを書かなければならない仕事だったらライティングに特化した学び方が必要ですし、読み書きは必要ないからとにかく英語で少しでも話せるようになりたいのであれば、英会話をどうやるかを考えた方がいいでしょう。
どちらにせよ、TOEICにはリーディングセクション(文法・数パラグラフ程度の読解)とビジネスシーンを切り取ったリスニングセクションしかありません。ライティングやスピーキングを伸ばしたい人には遠回りになる場合があります。
TOEICは意味がないのか?
それでは、TOEICという英語の試験は、スコアが必要な人以外には意味がないものなのでしょうか。決してそういうわけではありません。
限定的な出題範囲とはいえ、ビジネスシーンで使える語彙はたくさん身に付きますし、2時間で200問の問題を解けるように訓練することは、頭の中で英語を理解し考えるスピードを上げるのにとても効果的です。
つまり、安易にTOEIC対策に走るより、一旦立ち止まって、取り組み方と活かし方を見極める必要があるということなのです。
英会話力を伸ばしたい人にTOEIC受験が効果的な2パターン
英会話力を伸ばしたい人にTOEIC受験が効果的な場合ももちろんあります!
- 上達が見えにくい英会話とは別に、TOEICの勉強をしてスコアが上がることで英語に対するモチベーションを保つきっかけになる場合。
- TOEIC対策は特にしなくても、定期的に受験することで、自分の総合的な英語力の向上の記録として活用できる場合。
この2つのパターンです。
実際の生徒さんの成功エピソード
ここからは、実践的な英語を身につけたい人にとって価値のあるTOEICの取り組み方を、実際の生徒さんの成功エピソードを交えてご紹介したいと思います。私の生徒さんには上記の2. のやり方で大きく成長された方がいらっしゃいます。
生徒さんの成功体験
その方はもう一年以上、英会話のレッスンを続けてくださっているのですが、1年間で150点TOEICのスコアが伸びたという報告を昨年末にしてくださりました!もともと英語の基礎は出来ているスコアからの150点アップだったので、私としても最高にうれしいお知らせでした。
この生徒さんの報告をなぜみなさんにシェアしたいかというと、この生徒さんはTOEICのスコアを伸ばしたくて英語のレッスンを受けていたわけではないからです。TOEICの対策はされていませんでした。
ご自身がご自身の意思とタイミングで申し込まれ、受験され、スコアの推移を英語学習のモチベーション維持に活用されているのです。
レッスン内容はあくまで英会話
私が彼女にアドバイスをしたのは、レッスン以外でどのように英語に取り組んだらいいかということ。そしてそれは、おすすめの海外ドラマとその観かただったり、おすすめの洋書だったり。それらとレッスンの相乗的な活用の仕方もアドバイスしました。でも、TOEICのテクニックなどではありませんでした。
この生徒さんは、英会話のレッスンを取りながら、レッスン外で私のおすすめした勉強法(海外ドラマの効果的な観かた、洋書の読み方など)を素直に実践してくれていたので、まさにその成果だと確信しています。
リスニングやリーディングをご自身の時間に取り組み、インプットした知識をレッスン内で存分にアウトプット練習することを繰り返された結果、実践的でバランスの取れた、本物の英語力がつき、自然とTOEICのスコアも伸びたということです。
TOEICをモチベーション維持に繋げた
この生徒さんは、今回の結果を受けて、英会話をやりながら新たな目標スコアやほかの英語試験にも挑戦してみようと思ったそうです。こうしてTOEICのスコアの伸びをきっかけに、英語学習全体へのモチベーションが上がるというのは素晴らしいことですね。
英語を話せるようになりたい人にはTOEIC対策はいらない
実は私も英語を毎日のように勉強していたころでも、TOEICのための対策はあまりしませんでした。今までTOEIC専用の単語集を自分の英語力向上のために買ったことも使ったことも実はありません。
よりアカデミックで包括的な内容を網羅したTOEFL ibtや、偏りの少ない分野を扱う英検のための勉強をしていくうちに、TOEICのスコアアップに作用する英語力もついたため、TOEICのスコアまで一緒に上がっていきました。
TOEICが自分にとって必要かを考える
今の日本はTOEICブームとも言え、10年ぶりに出題形式が改定されましたが、TOEIC対策が本当に使えるバランスの取れた英語力の向上につながるとは、残念ながら言えません。
ビジネス英語ではありますが、各業界によって使われる語彙や表現は違います。
ご自身の職場や取引先で使える英語を学びたいのでしたら基礎英語力と業種・職種に特化した語彙力の強化に注力した方が賢明です。忙しいビジネスマンにとって、現実的で結果も早く実感できるでしょう。
まとめ
就活や会社の昇給などのために、とにかくスコアが欲しいという方は、TOEIC対策を頑張るのが近道です。
しかし、英語を使えるようになりたい方は、それができる取り組み方を改めて考えてみてください。あなたにとってTOEICにお金・時間・労力を費やすことが本当に大事なのか、別の英語力が必要なのか、見直した上で英語を学んでいってもらえたらと思います!
TOEIC対策に役立つ、語彙力アップの方法はこちらの記事をどうぞ▼
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