日本で英語に取り組んでいる人の中には、数か月~数年間海外生活を経験した人も多いと思います。これからまさに海外に向けて出発しようとしている人もいるでしょう。
出発前、留学中は新しい経験に心の準備が出来ていたりして、文化の違いにも、ちょっとしたミスコミュニケーションも前向きに乗り越えていこうとできるものです。そんな海外生活の終わりには、多くの困難を乗り越えた達成感をもって、やりきった気持ちで帰国出来たら理想ですよね。
でもそんなホッとした気持ちになって帰国すると、予想していなかった困難に直面する人も居ます。私も一年前ほどネットでたまたまこんな言葉を見つけてはっとしました。
「帰国うつ」です。
簡単に言うと、文化の違い・カルチャーショックなんです。違う文化から違う文化へ生活を移すので、自然なことですよね。
でも帰国時のカルチャーショック(逆カルチャーショックと言ったりもするようです)は、ちょっと厄介です。
今回は、帰国の時にカルチャーショックが、なぜ本来自然な反応なのか、そして、留学や海外生活を始める時よりもちょっと厄介なのはどうしてなのか、そんなお話しをしたいと思います!
なかなか自分の周りに帰国後のカルチャーショックを理解してくれる人が居なくて、元気がなくなってしまう(=「帰国うつ」になる)という人もいるのではないかなと思って、記事にしようと思いました。
目次
「帰国うつ」とは?
「帰国うつ」とは、簡単に言うと、海外である一定の期間生活したあと日本に帰国をした際に、気候・環境・文化の違い・人間関係など、様々な要因で違和感を感じ、生きづらさを感じることです。
「うつ」という言葉が入っていますが、病院で診断されるうつ病とは区別して考えてください。時間がかかっても日本のやり方に慣れれば、問題なく日本で生活が送れるくらい適応できることががほとんどです。
この帰国後の落ち込む気持ちに決まった言葉はなく、逆カルチャーショックと呼ばれることも多いようです。
こうなると、実際に体調を崩したり、留学前に日本で仲良かった人たちとうまく関係が行かなくなったり、前の日本の生活ではなんでもなかったことが出来なくなってそんな自分にもやもやしたりします。
自慢にならない!筆者は「帰国うつ」2度の経験者!
カナダ生活から帰国2回目という今回、前回の反省を生かして「帰国うつ」にならないように準備していたのですが、やっぱり上手くいかなくて、それにも1ヶ月ほど落ち込んでました。(落ち込んでいると記事が全然書けないですね。涙)
2回帰国うつっぽい感じを経験したので、それぞれどんな様子だったか分けて振り返りますね。
帰国うつ一回目は7年前
大学生時代にカナダ交換留学から帰国したときは、大好きだったサークルの仲間・遠距離中だった彼にまた会える楽しみで、ルンルンで帰国しました。でも、やっぱり一年間カナダでのびのび生きていたので、日本の人との距離感がつかめず、大好きだった人たちとの関係が思ったように戻らなかったことにとても悩みました。
「帰国うつ」という現象の存在も知らず、海外からの影響を受けて、自分の性格が悪くなった・コミュニケーションの仕方が悪いのだと思って落ち込んでいたのを覚えています。
一生懸命ならなんでも上手くいくはずなのに、と本気で信じていた若かりし頃の浅はかさもありますが、逆カルチャーショックということが自然な反応だということを知らなかった当時の私は相当パニックしていました。
日本生まれ日本育ちなのに日本で生きづらいのってやっぱり落ち込むんです。笑
貼ったら剥がせない「外人・外国人」レッテル
今思い返してみると、この頃から地元の友達や知り合ったばかりの人には「外人・外国人」レッテルを貼られるようになりました。
そしてあれから10年以上経った今でも「ほとんど外人だよね」「もう全部が外人なんだもん」とか、びっくりするくらいの頻度で言われます。血は純粋な日本人、27年間のうち2年半くらいしか海外には住んでないんですけどね。
その人たちの中では、
ちょっと性格が変わっている+海外行ってたらしいという情報=ほとんど外人
という方程式が無意識に成り立っているようです。
いい意味だよ、とフォローしてくれる人もいますが、日本では「ソト」の人と認識されると、社会生活が不便になるのを何度も経験しているので、気持ちは複雑なままです。笑 海外生活経験のある日本人なんてたくさんいるのに、その人たちはもう同じ日本人として見てもらえないというのは結構悲しい状況です。
日本人の中の多様性ってもっと受け入れられても良いと思うんですけどね。
むしろ「外人」レッテルを貼られるようになってから、「私だって日本人なのにー」と自分のアイデンティティを意識することは増えた気がします。
帰国うつ二回目は今!
身体が適応できなくなる
今回は、そもそもカナダからインフルエンザにかかったまま帰国したので体調は絶不調だったのですが、その後花粉症デビューだと思っていた症状が実は気管支炎だったことが発覚し…!
なんだか長引くのでアレルギー検査のため血まで取ってもらったのに、結局咳は止まらず、どの検査項目もアレルギー反応はゼロというお医者さんも首をかしげる結果に終わりました。
「東京は空気が悪いからね。今まで良い所に居たね~。」
帰国したくなかった私にとっては落ち込む言葉ですよーせんせー。泣笑
ということで、まず環境によって体調がやられました。母国の空気がもう無理って情けないです。涙
そして、人が多くて駅のホームで気分が悪くなるとか、満員電車の込み具合にびっくりする自分にびっくりするといったようなことが一ヵ月以上続きました。以前は積極的に好みはしないものの、大都会東京で平気で毎日こなしていたことができなくなる、なまった自分を突き付けられて落ち込みます。
コミュニケーションが上手くいかなくなる
そしてやっぱり人間関係は難しいです。それは、日本語と英語が話されるそれぞれの文化では、コミュニケーションの方法が結構違うからです。
日本は言葉ではなく察することを良しとする文化。意見交換もあまり活発ではないな、と改めて思います。これも比較対象があるからこそ気になってしまうところなのですが。
自分の意見を言って、相手からの違った切り口や考え方を受けることで、お互いの理解を深めたいと思っているこちらの意図は伝わらず、相手が気を遣って意見も反論もしてこないことでコミュニケーションがうまく機能しないことが今回ありました。
私としては、相互コミュニケーションの流れの一部として、意見・反論を待っているのに、相手は「決めつけがすごい人」と私のことを判断してしまったようで、なんだか関係が上手くいかなくなってしまいました。
もう1年半以上の仲の友達だったのもあって、結構凹みました。
時間が解決してくれる…でも?
「帰国うつ」の治療法
帰国うつと言っても、病院で診断されるようなうつ病のように、いわゆる薬が効くようなものでは無いです。
適応障害に近いのかな?環境の変化に追いつけていない状態だと考えれば、新入社員や新婚の人なども比較的なりやすいちょっとした落ちこみ期です。
なので、基本的には深刻に考えすぎず「ゆっくり慣れていけばいいや」くらいに構えていることで、だんだん時間が解決してくれます。はじめの時期に、辛い状況を打破しようと頑張って、我慢したり乗り越えようと同じペースで生活すると、「帰国うつ」でもなかなか環境に慣れることができず、長期化したりもします。
状況が許す限り、話しやすい人と会い、行きやすいところに行く、という選び方を優先することで、身体もコミュニケーションの取り方も日本でそんなにストレスや違和感を感じなくなってくるようになります。
私は具体的には、人混みや駅のラッシュが限界だと思ったら謝って予定を変えさせてもらう、タバコの煙で咳が止まらなくなったので飲み会を早退させてもらう、会話の仕方のちょっとした違いも受け入れてくれたり面白いと思ってくれる人たちとから再会していくようにするなど、初めの一ヶ月は友達には本当に申し訳ないと思いながら、自分勝手にさせていただきました。
そのおかげで、帰国後二ヶ月が経とうとしている今では咳もだいぶ収まり、慣れていない所の人混みでも比較的大丈夫になりました。日本の生活に慣れてきたなという実感があり、過ごしやすくなりました。
それが本当の正解なのか…
海外生活から日本に帰ってくるたびに、その環境に自分の生活や性格を合わせていこうとやってきましたので、環境の変化に反応する自分の扱い方も慣れてきました。
でも、これからも日本とカナダを行ったり来たりするかもしれないと思うと、毎回体調と性格を調整していくのは大変だな…と正直思います。特に、その調整期間ってそれだけタイムロスと言いますか、動き出すのに時間がかかってしまいますので、ちょっと痛いです。
環境の変化に関わらず、自分は自分で居られる人もたくさん居ますから、そうなれればいいなぁ〜と思いつつ、背伸びしすぎないで自分のできる範囲内で取り組んで行こうと思います。自分にはなれない人になろうとするのも大変ですからね。
何回も繰り返したらさすがに慣れるんでしょうけどね。もしこれから海外生活を予定していたり、海外から帰国予定の方は、そんなに構えず、ゆっくり慣れていってほしいなと思います。
多様性を受け入れるために知っておきたいこと
海外から帰国して、環境の変化についていけなくなり「帰国うつ」になってしまうのって、その気持ちを共有できる人がなかなかおらず、孤独感を感じやすいということも影響しているのでは無いかなと思っています。
元気が無いなんて話を記事にするのは恥ずかしかったのですが、そう言った理由もあり、もしたまたまこの記事にたどり着いた人に「結構自然な反応だし、他にもそう思う人はたくさんいるよ」ということを伝えられたら嬉しいなと思っています。
私の記事をいつも読んでくださっているみなさんには関係ない内容になってしまって申し訳ないのですが、この情報過多の時代になかなか見つけにくい情報こそ、私の書ける範囲で書いていきたいと思う今日この頃です。(SEO無視かい!というツッコミも歓迎です!笑)
そして、英語学習には関係なくても、英語を使うようになって出会うであろう人たちを理解するという意味で、決して知っていて損な内容ではないと思っています。
日本にいると海外から帰国する人にキラキラしたイメージを持ちがちですが、ただただ違う環境から帰ってきてちょっとだけ疲れている、ということを理解して、ペースを尊重してあげてほしいなと思います。
英語学習には関係ありませんが、異文化理解には深く関係してくる内容です。これからもっと、日本人の中でも色々な人がいるのだと理解してくれる人が増えたら嬉しいなと思っています。
まとめ
- 帰国うつは自然な反応
- 母国への適応障害ということで、ちょっと心理的ダメージが大きいのが厄介
- 対処法は、頑張りすぎず、ゆっくりめのペースで時間をかけて慣れること
- 帰国するって意外と大変な事なので、周りの理解がもっと広がったら良いなと思う
それではまた!