英語教育で話題のアクティブラーニング!でも一体誰が変えるの?

2015年から今年2017年にかけて、徐々にアクティブラーニングという言葉が日本で流行ってきているようですね。日本の教育が変わろうとしているこのタイミングで、私も日本の英語教育と英語圏にある語学学校の教育スタイルを比較する機会があったので、日本の英語教育を変えるには何が必要だと思うかを共有したいと思います!

目次

結論: 全英語の先生にTESOL研修を!

先に結論を申し上げると、英語の先生にTESOL研修を受けさせることが良いと思います!

 

なんのこっちゃと思われる方、これからパズルのピースのように、一つずつ説明していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

 

アクティブラーニングとは?

まずは、アクティブラーニングの本当の意味です。これは決して、エアロビしながら単語の音読を繰り返す、というようなことを意味するわけではありません。

 

生徒が考え、発言し、考えをお互いに理解を深め・広げられるように促す教え方がアクティブラーニングへと繋がります。

 

ざっくりとね、雑に言うとこんな感じです。私も陥りがちですが、言葉選びに慎重になればなるほど説明って分かりにくくなることが多いので、あえて雑にいきます。

 

私の興味はもっぱら英語教育なのて、英語という分野に絞ると、

 

意味のあるコミュニケーションを出来るようになるためのスキルを、(教えるのではなく)習得させることを目的とした教授法

 

と定義させていただきます。

 

英語のアクティブラーニングの一例:TESOL

この学習目的はTESOL (Teaching English to Speaker of Other Languages 母国語を英語としない人向けの英語教授法) で設定されているもので、今日世界で認められているいくつかの英語教授法に共通する“能動的な学び(アクティブラーニング)”の重要性を軸にしているものです。

先日、私自身も修了したTESOLは、母国語を英語としない人に英語を教えるための英語の各スキル(読む、書く、聞く、話す)の教え方、評価法、授業構成の立て方、教材についてなど、かなり実用的なスキルを身につけられるプログラムです。

 

日本の文法&翻訳式の英語教育は時代遅れ

TESOLでは、生徒が授業に能動的に関わることを先生が促すことが重要視されているので、ペアで問題の答えを話し合ったり、テーマに沿って自由に話すなどのアクティビティが重視されます。

生徒の学びは、教える内容以上に、どう学ばせるかにかかっていると考えられているのです。

 

板書、個人で解く練習問題、翻訳などの連続である日本の教育に育てられた私にとっては新鮮であり、ショックでした。

 

私たちが馴染みのある英語の授業は文法の単元で構成され、英語に力を入れているとされている学校や塾でさえ無駄に複雑な英文を翻訳をさせることに注力するにとどまっているのが現状です。

 

なぜなら、TESOLのような教え方は先生の生徒から引き出す技術が強く求められ、そのように教えることのできる先生は日本では育てられていないからです。

 

日本で量でカバーしてここまで来た私にとっては、こんなにも世界基準とかけ離れた学び方をし、よくもまぁ無事に英語が話せるようになったなぁと不思議になるくらいです。

 

日本の英語教育と英語圏のESL教育の違い

色々と違いすぎて、どう違うかを説明し始めると、TESOLの全プログラムの講義を書き出さないといけないくらいなので、少し例を挙げさせていただきます。

例えば、

  • 授業中に先生が話す割合は20%を超えるべきではない
  • 3タイプある教え方の中で、正解や法則をはじめに説明する教え方は、もっとも効果が低い。
  • 生徒が正解を繰り返して音読したり書いて丸暗記したりすることは、正確な知識を覚えることには繋がっても、実際に使えるスキルには繋がらない

 

というように、3つ例を挙げるだけでも、日本の英語の授業とは真逆の方向を目指しています。私のガリ勉時代の日々は思いっきり全否定された気がしました。笑

 

そして、義務教育のあと高等教育に進み、手に職ではなく、学問を学び続けた方々の学生時代も否定されている場合が多いなと思います。(まぁ私たちより上の世代は、世界も日本も経済状況が違ったので、そういった教育で良かったんだと思いますが。)

 

真面目に勉強したのがあほらしい…無駄とまでは言わなくても相当遠回りしていたのは確かです。涙

 

量でカバーすることの問題とは?

日本の魂とも言える、根性論から、勉強量で英語を習得した人は多いです。

 

結果的に英語が話せるようになったのだから、ちゃんとやれば日本の教育も悪くないのではと考える方もいらっしゃると思います。残念ながら私個人は、たかが英語力習得のために、高校時代や人格形成に重要な思春期の大事な部分を犠牲にしたと思っています。

 

塾にこもり、友達とも話さず単語帳とにらめっこしていたあの時期、もっと違う過ごし方ができたのではないかと思います。

 

留学ですら犠牲ありきのことも

私は留学は行きたかったのでまだ良かったですが、海外に行きたかった訳でもないのに親の意思で海外に送られ、16歳の一年間を異文化で過ごし、大変な思いをした同級生たちもたくさんいました。

 

こういう経験をした人たちは、英語に結びついた記憶はあまり良い思い出ではないので、その後はせっかくの英語力をあまり積極的に活用しなかったりします。何かを犠牲にしても、思ったほどの効果は得られないことも多いのです。

 

生活や仕事の犠牲を最小限にとどめて、日本人の英語力向上を目指したいと考えるのは、英語力よりも人生には大事なことがあり、そのような犠牲を払わなくても英語力を伸ばせる方法を見つけて広めたいと思うからです。

 

アクティブラーニング導入の最大の壁

話が少しそれてしまいましたね。

 

アクティブラーニング導入が喫緊の課題であるということには、大賛成です。

 

知識を学ぶのも、発信したり理解し合うためのコミュニケーションスキルを身につけるのも、アクティブラーニングなしでは叶わないと思います。

でも、先生が20%以上しゃべっちゃいけなくて、空気を読んだり目立つことを恐れたりする風潮がまだまだ根強い日本のクラスルームで、生徒に80%も喋らせるって、どうやるんだ?って思いませんか?

 

先生が引き出す高いスキルを持っていないと、これってすごく難しいことだと思うんです。

 

また、日本のクラスルームの文化をかなりガラリと変えないと、アクティブラーニングって実現しないんです。

 

そしてそのためには、先生たちの教育がなによりも急務だと思います。やっと先生の教育の話になってきましたね!笑 具体的にどんな「先生改革」が必要か、考えていきたいと思います。

 

アクティブラーニング導入に必要なことは「先生の教育」

まず答えをそのまま教えては、生徒の考える機会を奪うことになりますので、生徒たちに考えさせる様々なヒントを思いつけないといけません。

例えば、

  • 例をたくさん出して、そこから生徒たちに法則を発見させる
  • 的確な質問を投げかけて、それに対する生徒の答えが実はその授業の一番のポイントだったと気付かせる
  • 学んだ内容をもっと自由に使えるようにペアやグループワークを盛り込む

 

もちろん、答えを教えた方が何倍も時間短縮になり、先生の負担も減ります。

でも、そうすると生徒たちは考えないんです。その結果が私たちです。涙

 

でも先生たちも、引き出し方がわからないだけで、そのやり方さえ分かって身につけられれば良いだけだと思います。生徒たちがもっと興味を持って授業を受けられるようになり、それが先生たちにとっても生のフィードバックとしてやりがいになると思うんですよね。

 

アクティブラーニング指導第一世代の先生たち

ここで、先生たちの負担を確認しておきたいと思います。

 

アクティブラーニングという方法で先生という仕事をやる初めての世代が私と同世代20代後半~30代前半くらいの人たちだと思うと、一番苦悩する世代かもしれないと思ったりします。

 

自分たちが学生だった頃は、旧来の詰め込み教育とゆとり教育のはざまで実験台にされ、知識も考える力も実用的なスキルも、中途半端にしか身に付きませんでした。そのまま社会人となり、自分たちが受けた教育に自信が持てないまま、今度は教える立場になりました。しかも自分たちは経験をしていない教え方を用いて、堂々と生徒たちと向き合わないといけないのです。

 

なので、先生個人個人にアクティブラーニングの方向性で各自考えて工夫してください、とするのはあまりに酷だと思います。

 

ストリートダンス義務教育導入との共通点

ひとつ違う科目で例を出しましょう。

 

そういえば、数年前にストリートダンスが義務教育の体育の授業で必須科目となりましたね。

 

私はダンスだけは好きでそれなりに練習したのでできるのですが、スポーツは苦手で、体育も苦手です。その逆で、体育の先生は他の科目はできてもダンスをやってきた人たちは少ないです。

 

なんでしょうね、ダンスって体を動かすし基礎練習とかもしてスキルも磨けるんですけど、他のスポーツと違うところも多いです。だからダンス導入のニュースを聞いた時に真っ先に頭に浮かんだのが、体育の先生たちでした。

 

知らないものをどう教えるんだろうと。指導者になるためにはその道のトップになる必要は全くないけど、まったくわからないものはさすがに人に教えられないよなーと。

 

しばらくして、体育の先生用のダンスレッスンなどが各所で開催されるようになったと知って、少しほっとしたのを覚えています。今体育の教育現場の混乱がどのくらい解消されているかは、私には全く分かりませんが、先生たちが助けを求めることができる場所が提供されているというだけでも安心だと思いました。

 

学校の英語の先生に必要なもの=学びの機会

さて、英語教育に話を戻しましょう。

大学で教職課程をでて、試験に受かり、晴れて学校の先生になった人たちの中で英語がぺらぺらな日英バイリンガルと呼べる人はそんなに多くないのは想像できますよね。

 

それが悪いと言っているのではなくて、学校の先生になるというのはそういう道をたどることだということです。むしろ日本の教育という枠の中の優等生をやらないと、なかなかその枠の中の先生という立場には就けないので、自然な結果だと思います。

 

日本の民間企業がまっさらな新卒を好んで雇って、自分たちの思い通りに教育して労働力としていく流れと同じです。

 

学校の英語の先生というのは、日本語だろうと英語だろうと、生徒が言葉を話すことにほとんど重きを置いてこなかった日本の教育の中で「ちゃんと勉強してきましたね」というお墨付きをもらってきた人たちとも言えます。

 

そのような人たちに対して、急に「はい、これからは生徒に考えさせて、発言させて、アクティブかつインタラクティブな授業にしてください」と上から言っても、無茶ぶりにもほどがあります。どう教えたらいいか、イメージできないですよね。

 

TESOLは日本の英語の先生こそ受けるべきプログラム

だから、英語の先生のための、アクティブラーニングの教え方を学べる機会がもっと必要なんです。

 

TESOLは色々な学校が色々な期間設定で提供しているプログラムですが、特に4週間という短期間で設定されているものは、理論は最小限に、実用的な教えるノウハウだけを凝縮して習得できます。

 

実際に受けた感想としては、内容の濃さに対してプログラム期間が少し短いくらいだと感じましたが、そのくらい充実した短期集中プログラムということは確かです。

 

なので、学校の英語の先生は、1ヵ月間研修としてTESOLを取れればいいのに!と強く思います。私がたまたま取ったプログラムはTESOLですが、CELTAやケンブリッジなど、他の世界共通の英語教授法もアクティブラーニングをベースとしているものです。これからの日本の英語の先生がきっと取って良かったと思える内容になると思います。

 

先生の教育プログラムとして導入されるべき

「英語の先生はTESOLを取るべき!」と英語の先生個人に言っても実現は難しいでしょう。日本で1ヵ月仕事や学校を抜けるということは、かなり難しいですもんね。

 

こういう融通の利かない環境こそが、日本人を日本の中に閉じ込めて視野を狭くしている気がします。

 

まぁでもワークライフバランスとかの話までし始めるときりがないので、今回英語の先生に限った話にすると、英語圏での1か月間のTESOL(やその他ESL/EFL教授法)プログラム研修を必修にすればいいのにと思います。

 

”国産プログラム”は時間の無駄

日本が英語の先生のトレーニング用の“独自のプログラム”を練っている間に時間はどんどん過ぎていきます。

 

仕組みを作っている人たちが、エリート学校をでて、時間をかけて練られた教育しか受けてこなかったからそれが正しいと思うのでしょうか。

 

もっと実用的なスキルが身に付く機会って身近にあるし、プログラムによっては1ヵ月の短期集中で、費用も10万円以下と手が届きやすものもあります。

 

私が入学したカレッジのTESOLプログラムも1ヵ月間の短期集中で、大量の知識と、実際に英語の授業を教えるスキルをクラスメイトを生徒に見立てて実際にレッスンを教えるスキルなどを、その場で習得させてくれます。実際にやる人としてはとても緊張しますが、とても良い訓練だと思いました。

 

1ヵ月で先生たちの教え方をガラリと変えられるし、英語に限らず幅広い科目で応用が利く教え方が身に付くので、活用しない手はないと思います。

 

時間の無駄は税金の無駄

こういうところにこそ税金使えばいいのに…

 

教育って成果が出るのに時間がかかるので、見て見ぬふりがされがちですが、日本を復活させるも沈ませるも、結局は教育な気がします。

 

時代に対応できる人を育てるには、それを引き出す指導者の教育もそれ以上に大事。今いる先生たちを活かすも殺すも、予算の組み方次第です。

 

はい、ちょっとまた雑でしたね。予算の組み方とかお偉いさん方の政治の仕組みは私には全然わかりません。わかろうと努力もしていないです、ごめんなさい。

 

でもたまにはそれくらいシンプルに考えたっていいと思います。どんな仕組みでもその中にいる人たちって細かいことを気にして視野が狭くなっちゃいます

 

プログラム目的の海外留学は短期間でも効果的

日本の外に一歩出れば、本当に日本のためになる学びの機会ってたくさんあるんだから、わざわざ全部日本国産のプログラムで賄う必要なんてないと思います。1ヵ月先生たちを英語圏のプログラムに派遣すれば、先生の考え方や教え方をかなり効果的に変えることができる内容になっているのですから。

 

そういうことって、現場で本当に教えていたり、常に教える立場として学び続けてる人じゃないと見えないのかなー。厚生労働省や教育委員会のお偉いさん方にはこんなシンプルなことが見えていないのかなぁ。

 

偉い人が苦手な私は社会での立ち回り方とか苦手分野なので、政治とかできないですが、私は私で動きます。日本の英語の学習者だけじゃなくて、英語の先生も助けられるようなこと、したいです!しますよー!

 

まとめ

  • アクティブラーニング導入の成功は先生の教育にかかっている
  • TESOLなど世界水準の英語教授法は、短期間でも受けられ実用的なスキルが身に付く
  • 日本の先生たちを英語圏のTESOLプログラムに1ヵ月研修として派遣して育てるのが一番早いし費用対効果も良い(と思う)!